ラプロス
猫の新しい腎臓病の薬として話題になっている薬がでました。
腎不全の猫ちゃんの飼い主様は心待ちにしていたのではないでしょうか。
この薬の注意点や、現時点での情報をまとめたいと思います。
ラプロスは商品名でその成分はベラプロストナリトリムです。
プロスタサイクリン誘導体で血小板の機能を抑えたり、血管の拡張作用、炎症によって産生されるサイトカインの抑制作用、血管内皮細胞保護作用があります。
猫の慢性腎不全は慢性的な炎症により線維化してしまい、腎機能が落ちるということがわかっています。
ラプロスはこの繊維化を抑える初めてのお薬です。
動物用医薬品で初めて「腎機能低下の抑制・臨床症状の改善」が効能・効果で認められた治療薬です。
今まで使用していたお薬は「タンパク尿の漏出抑制・尿毒症症状の発現の抑制」が効能・効果で認められたお薬でした。
上記のような夢のようなお薬ですが、いくつか心配な事があります。
この効能書に目を通すと・・・
甲状腺機能異常症の猫に対する安全性は確率されていない
⇒腎不全と甲状腺機能亢進症はかなり併発している子は多いです。
甲状腺コントロールしてれば内服していいのか?
新薬なのでわからないと思います。
安全性試験の日数が180日の結果で判断
⇒慢性腎不全の子は何年も内服することになると思うのですが。
この薬は人間では肺高血圧の薬=循環器に影響を与える薬
猫は人間より効きづらいらしく、体重kgあたり人間の10倍ぐらいの量だそうです。
慢性腎不全の子は肥大型心筋症を併発していることもしばしばあります。
肥大型心筋症の子に内服しても大丈夫だとかは書かれていません。
当院では以上の事を踏まえ、甲状腺亢進症・肥大型心筋症(治療が必要なステージ)がない子に処方を勧めていこうと思います。
今後いろいろとわかってくることも多いと思いますが、猫の慢性腎不全というほぼ老齢期の猫ちゃんが100%かかる病気に対し、新しい治療の選択肢が増えるという事は喜ばしいことですね。
2017年6月9日の時点での情報です
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